「確定申告の帳簿づけが面倒。スマホだけで、できればほとんど任せて終わらせたい」――独立したばかりのエンジニアやデザイナーから、よく聞く悩みです。そんなときに名前が挙がるのが、スマホの確定申告アプリ「タックスナップ」です。
ただ、「丸投げできる」という言葉だけで選ぶと、「思っていた丸投げと違った」「無料で申告できると思ったら提出できなかった」といったズレが起きがちです。この記事では、タックスナップの公式サイトとヘルプページで確認できる事実をもとに、料金・機能・対応範囲と、使う前に確認しておきたい点を整理します。
タックスナップとは?スマホ完結型の確定申告アプリ
タックスナップは、株式会社タックスナップが運営する、個人事業主・フリーランス・副業の人向けの確定申告アプリです。iPhoneとAndroidに対応しており、パソコンを開かずにスマホで作業を進める設計になっています。
公式サイトで案内されている主な機能は次のとおりです。
- 銀行口座・クレジットカードとの連携(公式サイトでは1,000社以上の金融機関・サービスに対応と記載)
- レシートの読み取り
- 明細をスワイプで「事業用/プライベート」などに振り分ける「スワイプ仕分け」
- 仕分けを任せられる「丸投げ仕分け」
- 税務調査のリスクをチェックする機能(安心プラン)
- マイナンバーカードを使ったアプリからの電子申告
- 開業届や請求書の作成
- freee・マネーフォワード・弥生など他の会計ソフトからのデータ移行
「会計ソフト」というより、質問やスワイプ操作に答えていくうちに帳簿と申告書ができあがる「申告アプリ」と考えるとイメージしやすいでしょう。会計ソフト全体の比較は会計ソフト比較|フリーランス1年目に合うのはどれかで解説しています。
料金プランと無料トライアル
公式サイトに掲載されている料金は次のとおりです(すべて税抜表示)。
| プラン | 料金(税抜) | 主な違い |
|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | 控除のみ・雑所得の人は無料で申告できると案内。機能には制限あり |
| カンタンプラン | 年払い:月980円 月払い:月1,780円 | 申告書の作成・提出、レシート読み取り、スワイプ仕分けが利用可能。丸投げ仕分けは制限あり |
| 安心プラン | 年払い:月2,483円(年間29,800円) | カンタンプランの内容に加え、丸投げ仕分け、税務調査リスクチェック、全額返金保証 |
カンタンプランと安心プランには、初めて契約する人向けに14日間の無料トライアルがあります。ただし、ヘルプページでは次の点が案内されています。
- トライアル期間が終わると、自動的に有料プランへ移行する
- トライアル中に解約すれば料金は発生しない
- トライアル中は、確定申告書の提出や書類の出力(PDF・印刷など)はできない
- 申告書の一部以外の確認・出力やプラン変更などを行うと、トライアルが終了して料金が発生する場合がある
「丸投げ」でどこまで任せられる?
タイトルにもある「丸投げ」は、タックスナップでは主に安心プランの「丸投げ仕分け」を指します。連携した明細を自分で1件ずつ判断するのではなく、仕分けをアプリ側に任せられる機能です。カンタンプランでは「制限あり」とされ、基本は自分でスワイプして仕分けます。
一方で、次のようなことまで自動で済むわけではない点は押さえておきましょう。
- どの支出が仕事用か、家事按分の割合をどうするかといった判断の前提は、自分で把握しておく必要がある
- 連携していない現金払い・個人口座の支出は、レシート読み取りなどで取り込む必要がある
- 申告内容の最終的な責任は申告者本人にある
特に在宅ワークのフリーランスは、家賃・電気代・通信費の按分が論点になりやすいところです。考え方は家事按分のやり方、経費にできるものの目安はフリーランスエンジニアの経費一覧で確認しておくと、アプリの仕分け結果もチェックしやすくなります。
全額返金保証の条件
安心プランには「税務調査で追徴されたら利用料を全額返金」という保証があります。ヘルプページで案内されている条件は、次のすべてを満たすことです。
- 追徴課税の対象年に安心プランを契約していた
- 対象の確定申告書を、タックスナップのアプリ内から提出した
- 提出時の評価判定が「リスク低」だった
- 対象年から追徴課税の発生時点まで、有料プランを継続して契約していた
返金されるのはアプリの利用料であり、追徴された税金そのものを補てんする保証ではない点にも注意しましょう。
青色申告・65万円控除・e-Taxへの対応
公式サイトでは、個人事業主の白色申告・青色申告の両方に対応と案内されています。青色申告と白色申告の違いは青色申告と白色申告の違いで詳しく解説しています。
青色申告特別控除の最大額(65万円)を受けるには、国税庁のタックスアンサーによると、複式簿記での記帳や貸借対照表・損益計算書の添付などの55万円控除の要件を満たしたうえで、e-Taxで期限までに申告するか、優良な電子帳簿保存を行う必要があります。タックスナップのヘルプでは、青色申告の人がアプリから電子申告(スマホアプリで提出)を選ぶと、青色申告特別控除65万円の対象になる旨が画面に表示されると案内されています。
なお、青色申告をするには事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。期限は青色申告承認申請書の期限と書き方を確認してください。e-Taxでの提出にはマイナンバーカードの読み取りや暗証番号が必要になるため、申告直前に慌てないよう準備しておきましょう。窓口や郵送での提出を選ぶこともできます。
対応していない申告・書類(利用前に必ず確認)
タックスナップのヘルプページ(2026年1月時点の情報)では、対応書類と非対応書類が公開されています。主なものを整理すると次のとおりです。
| 区分 | 主な書類・所得 |
|---|---|
| 対応 | 確定申告書 第一表〜第四表、青色申告決算書(一般用・不動産所得用)、収支内訳書(一般用・不動産所得用)、所得の内訳書、医療費控除の明細書、セルフメディケーション税制の明細書 |
| 非対応(一部) | 修正申告用の第一表、株式等に係る譲渡所得等の計算明細書、先物取引の明細書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、外国税額控除に関する明細書、農業所得用の決算書・収支内訳書 |
| そのほか | 第三表の「土地建物等の譲渡所得」「山林所得」「退職所得」には現時点で非対応。法人の申告にも非対応 |
ITフリーランスで影響が出やすいのは、証券口座で株式の譲渡損益を申告したい、住宅ローン控除の初年度申告がある、海外クライアントからの報酬で外国税額控除を受けたい、過去の申告を修正したいといったケースです。該当する場合は、アプリだけで完結しない可能性があるため、国税庁の確定申告書等作成コーナーや他の会計ソフト、税理士への相談も含めて検討しましょう。
他の会計ソフトとの違いと選び方の目安
freee、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトと比べると、タックスナップは「スマホ操作を中心に、仕分けの手間を減らす」ことに重点を置いたサービスです。どれが合うかは、次のような観点で考えると判断しやすくなります。
| 確認したい観点 | タックスナップが合いやすい人 | 会計ソフトも比較したい人 |
|---|---|---|
| 作業する端末 | スマホで完結させたい | パソコンで帳簿を一覧しながら作業したい |
| 仕分けの方針 | 任せられる部分は任せたい(安心プラン) | 勘定科目を自分で細かく管理したい |
| 申告の範囲 | 事業所得・雑所得・各種控除が中心 | 株式譲渡・住宅ローン控除などもまとめて申告したい |
| 将来の法人化 | 当面は個人で続ける予定 | 法人化後も同じシリーズを使い続けたい |
他社の料金や機能はマネーフォワード クラウド確定申告の使い方と評判、やよいの青色申告オンラインの使い方と評判で、公式情報をもとにまとめています。
利用前にチェックしたいポイント
タックスナップの評判を調べると、さまざまな感想が見つかりますが、実際の使い勝手は人によって異なります。申し込む前に、次の点を自分で確認しておくのがおすすめです。
- 自分が使っている銀行・カードが連携に対応しているか(公式サイトで対応先を確認)
- 申告に必要な書類が非対応リストに入っていないか
- カンタンプランと安心プランのどちらで足りるか(丸投げ仕分け・リスクチェックが必要か)
- 無料トライアルの終了日と、自動で有料プランに移行するタイミング
- 年払い・月払いのどちらにするか(確定申告の時期だけ使うなら総額で比較)
- 事業用の口座・カードを分けているか(明細連携の精度に影響しやすい)
事業用とプライベートの支出が同じ口座に混ざっていると、どのアプリでも仕分けの手間が増えます。まだ分けていない人は事業用口座は分けるべき?も参考にしてください。また、申告のスケジュールはフリーランスの確定申告はいつからいつまで?で確認できます。
まとめ
- タックスナップは株式会社タックスナップが運営する、スマホ完結型の個人向け確定申告アプリ
- 料金(税抜)は無料プラン0円、カンタンプラン年払い月980円・月払い月1,780円、安心プラン年間29,800円
- カンタン・安心プランには14日間の無料トライアルがあるが、トライアル中は申告書の提出・出力はできず、終了後は自動で有料プランへ移行
- 「丸投げ仕分け」がフルに使えるのは安心プランのみ。全額返金保証は利用料が対象で、条件あり
- 白色・青色申告に対応し、アプリからの電子申告で青色申告特別控除65万円の対象になると案内されている
- 株式譲渡・住宅ローン控除・外国税額控除・修正申告などは非対応書類があるため、事前に確認が必要
参考にした公式情報
- タックスナップ公式サイト(料金・機能)
- タックスナップ ヘルプ:安心プランの利用料全額返金保証の条件
- タックスナップ ヘルプ:無料トライアル(お試し期間)について
- タックスナップ ヘルプ:無料トライアルから有料プランへは自動で移行される?
- タックスナップ ヘルプ:確定申告関連で対応している書類は?
- タックスナップ ヘルプ:スマホアプリで確定申告書を提出するには?
- 国税庁 タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。最新情報は公式サイトでご確認ください。個別の判断は税理士や専門家にご相談ください。
