予定納税とは|フリーランス2年目に来る通知の正体と払い方・減額申請【2026年版】

独立して2年目の6月ごろ、税務署から「予定納税額の通知書」という見慣れない封筒が届いて驚いた──。フリーランスになったばかりの人に、よくある出来事です。「確定申告で税金は払ったはずなのに、また払うの?」「何かの間違い?」と不安になりますよね。

結論からいうと、これは間違いではなく、前年の所得税額が一定以上あった人に届く「所得税の前払い」の通知です。この記事では、国税庁の公式情報をもとに、予定納税の仕組み・金額の決まり方・2026年(令和8年)の納付期限・払えないときの減額申請までを、かみくだいて解説します。

結論:予定納税は、前年の所得税額などをもとに計算した「予定納税基準額」が15万円以上の人が、今年の所得税をあらかじめ2回に分けて前払いする制度です。1回あたりの金額は基準額の3分の1で、第1期は7月、第2期は11月に納めます。払った分は翌年の確定申告で差し引かれるので、二重に取られるわけではありません。2026年分の第2期の納付期限は11月30日(月)、11月の減額申請の期限は11月16日(月)です。今年の売上が大きく落ちている人は、減額申請を検討しましょう。

予定納税とは?フリーランス2年目に通知が来る理由

国税庁によると、予定納税は、所得税(と復興特別所得税)の一部を前もって納める制度です。一度にまとまった税額を払う負担を軽くすることなどが目的とされています。

会社員は毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)されますが、フリーランスは基本的に翌年の確定申告でまとめて払います。そのため国は、ある程度税額が大きい人には、今年の分を先に一部払ってもらう仕組みを用意しているわけです。

「2年目に来る」理由はシンプルです。予定納税の金額は前年の確定申告の結果をもとに決まります。たとえば2025年に独立した人は、2026年3月に2025年分の確定申告をします。その税額が基準を超えていると、2026年6月に通知が届き、2026年分の税金の前払いが始まります。独立1年目は「前年のフリーランスとしての申告」がないので、通常はまだ届きません。

予定納税をしても確定申告は必要

予定納税は「仮払い」にすぎず、確定申告の代わりにはなりません。翌年の確定申告で、その年の実際の所得から税額を計算し、そこから予定納税で払った金額(第1期・第2期の合計)を差し引きます。実際の税額のほうが多ければ差額を納付し、予定納税で払いすぎていれば差額が還付されます。つまり、最終的に払う税金の総額は、予定納税があってもなくても変わりません。変わるのは「払うタイミング」です。

また、予定納税は国の税金である所得税(と復興特別所得税)の話です。住民税や国民健康保険料は、お住まいの市区町村から別に通知が来ます。どちらも前年の所得をもとに決まるため、独立2年目は複数の支払いが重なりやすい点に注意しましょう。

確定申告の時期そのものについては、フリーランスの確定申告はいつからいつまで?で詳しく解説しています。

対象になる人と金額の決まり方

「予定納税基準額」が15万円以上なら対象

予定納税の対象になるのは、予定納税基準額が15万円以上の人です。予定納税基準額は、原則として前年分の所得金額や税額をもとに計算され、その年の5月15日時点で確定している前年分の税額が基準になります。

ざっくりいうと「前年の確定申告で、源泉徴収などで引かれた分を差し引いたうえで、自分で納める必要があった所得税額」がイメージに近い金額です。フリーランスは報酬から源泉徴収されていることが多く、その分は差し引いて考えます(源泉徴収の仕組みは源泉徴収とは|報酬から引かれる10.21%の計算方法を参照)。

注意:前年に退職所得や譲渡所得、一時所得、雑所得などの「臨時的な所得」があった場合などは、それらがなかったものとして計算する特別なルールがあります。正確な金額は、税務署から届く通知書で確認してください。

1回あたりは基準額の3分の1

第1期・第2期とも、それぞれ予定納税基準額の3分の1を納めます。残りの3分の1にあたる部分(と、今年の実際の税額との差)は、翌年の確定申告で精算します。

予定納税基準額第1期(7月)第2期(11月)翌年の確定申告
15万円未満予定納税なし確定申告でまとめて納付
30万円の場合(計算例)10万円10万円実際の税額から前払い分20万円を差し引いて精算

※計算例はわかりやすさのための単純化です。実際の金額は通知書の記載に従ってください。

納付時期と2026年(令和8年)のスケジュール

国税庁の案内では、予定納税の流れは次のとおりです。期限が土日・祝日にあたる場合は、翌平日が期限になります。

時期内容
6月15日まで税務署から予定納税額の通知(書面またはe-Tax)
7月1日〜7月31日第1期分の納付
11月1日〜11月30日第2期分の納付
翌年の確定申告第1期・第2期の合計額を申告書に記入して精算

2026年分の第2期について、国税庁は納付期間を11月2日(月)〜11月30日(月)と案内しています。振替納税(口座振替)を利用している人の引き落とし日も11月30日(月)です。残高不足で引き落とせなかった場合は、法定納期限の翌日から延滞税がかかる可能性があるため、前日までに口座残高を確認しておきましょう。

なお国税庁の案内では、令和8年度税制改正による基礎控除の見直しは予定納税額の計算には反映されず、確定申告の際に反映されるとされています。

予定納税の払い方

国税庁が第2期分の案内で挙げている主な納付方法は次のとおりです。

  • 振替納税:事前に「振替依頼書」を提出しておくと、指定口座から自動で引き落とされます。新しく使う場合は手続きに時間がかかるため早めの提出が推奨されています(e-Taxでも提出可能)。
  • ダイレクト納付:e-Taxで手続きし、登録した預貯金口座から納付する方法です。
  • インターネットバンキング等による電子納付
  • クレジットカード納付:決済手数料がかかります(手数料は国の収入ではなくカード会社側の手数料)。
  • スマホアプリ納付:納付額が30万円以下の場合に利用できます。

通知書を電子で受け取る設定(e-Taxでの通知)にしている人には、納付書が送られません。その場合はe-Taxの受信通知で納付区分番号を確認して、キャッシュレスで納付します。

事業用の口座から振替納税にしておくと、税金の支払いも事業のお金の流れとして管理しやすくなります(所得税は経費にはならない点に注意)。口座の分け方は事業用口座は分けるべき?でまとめています。

今年の収入が減ったら「減額申請」ができる

予定納税額は前年の実績で決まるため、「去年は大型案件があったが、今年は契約が切れて売上が大きく落ちた」といったケースでは、前払いが実際の負担に見合わないことがあります。そんなときに使えるのが予定納税額の減額申請です。

減額申請では、今年の所得や控除を見積もって「申告納税見積額」を計算し、その根拠となる事実を書いた書類を添付して提出します。国税庁の記載要領によると、見積もりの基準日と提出期限は次のとおりです。

申請の種類見積もりの基準日提出期限(原則)対象
7月減額申請6月30日の現況7月15日第1期・第2期
11月減額申請10月31日の現況11月15日第2期

2026年は11月15日が日曜日のため、国税庁は11月減額申請の期限を11月16日(月)と案内しています。申請は「予定納税額の減額申請書」を書面またはe-Taxで提出し、税務署から承認・一部承認・却下のいずれかが通知されます。

注意:減額申請は、見積額の根拠となる書類が必要で、審査の結果認められないこともあります。また、減額された分は翌年の確定申告で精算するため、見積もりより所得が増えた場合はそのときに納めることになります。迷う場合は税務署や税理士に相談しましょう。

予定納税で困らないための資金繰りのコツ

予定納税は、確定申告(3月)と住民税・国民健康保険の支払いが重なる時期に追加で発生するため、2年目のフリーランスにとって資金繰りの山場になりがちです。次のような準備をしておくと安心です。

  • 入金のたびに税金用の取り分を別口座に移す:売上の一定割合を「税金用」として分けておくと、通知が来ても慌てません。割合は所得や控除によって変わるため、前年の申告結果を参考に決めましょう。
  • 年間の支払いカレンダーを作る:3月(確定申告)、6月以降(住民税)、7月・11月(予定納税)など、大きな支払いの月を一覧にしておきます。
  • 帳簿をこまめにつけて今年の所得を把握する:減額申請をするかどうかの判断にも、今年の見込み所得が必要です。会計ソフトで毎月の損益を確認できる状態にしておくと判断しやすくなります。
  • 青色申告で税額そのものを適正に抑える:青色申告特別控除などを活用すると、所得税額、ひいては翌年の予定納税基準額にも影響します。詳しくは青色申告と白色申告の違いをご覧ください。

まとめ

  • 予定納税は、今年の所得税を前もって一部納める制度。払った分は翌年の確定申告で差し引かれる
  • 対象は予定納税基準額(前年の税額などから計算)が15万円以上の人。フリーランス2年目に初めて届くことが多い
  • 6月15日までに通知、第1期は7月、第2期は11月に、それぞれ基準額の3分の1を納付
  • 2026年分の第2期は11月30日(月)が納期限・振替納税の引き落とし日
  • 今年の所得が減りそうなら減額申請が可能。2026年の11月減額申請は11月16日(月)まで
  • 税金用の資金を日ごろから分けておき、支払いが集中する月に備えるのがコツ

参考にした公式情報

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。最新情報は公式サイトでご確認ください。個別の判断は税理士や専門家にご相談ください。

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